たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「顔真っ赤だし、夏風邪?熱あるんじゃないのっ?」

伸ばした手が額に当てられると、ルイーズの手のひらが冷たく感じられる。


「へ、平気よ」どう見ても平気じゃない。分かってはいるけれど体が勝手に反応してしまう。

どうして私は嘘が下手なの?


激しく動揺しながら床に散らばる皿の破片をぎこちない様子で拾う。


「痛っ!」


フィーアの白い指をつたう一筋の赤い流れ。


「バカね。ちゃんと見ないでやるから」

呆れながらも怪訝そうな顔のルイーズ。

「ここはあたしがやっとくから、早く手当しといで」


ルイーズに救急箱がある場所を教わって、
「ごめんね、すぐ戻ってくるから」そう言って切れた指に唇をあてると立ち上がった。

< 125 / 296 >

この作品をシェア

pagetop