たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「では明日にするか」


「い、いやです」


驚いたのはエルンストだった。


「どうして?」


「も、もしヘレナさんにバレたら大変ですから」


「大丈夫だ」


「平気なわけないですっ!!」いつになく語気の荒いフィーアに、エルンストはますます驚いた。


外に一体何があるの?
ご主人様は私を連れ出してどうする気なの?


娼婦みたいなことしたくない。


負のスパイラルに陥った感情はとどまるところを知らない。


愛されてもいない男に抱かれるのだけは絶対にいや。


昨日だってご主人様は私を『愛してる』とは言っていない。


愛されていると思いあがった自分が恥ずかしい。


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