たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「どうしたのだフィーア?」

エルンストは立ち上がると振り返りざまに、ひざをついたまま動かないフィーアの両肩をつかんだ。


「いや、離してっ」


混乱しているのはエルンストも一緒だった。

「フィーア?!」



「離してったらっ!!」強い力でエルンストの手を振り払う。

フィーアのグレーの瞳からは大粒の涙が流れていた。



「フィーアっ!!」


フィーアの体はエルンストに抱きしめられていた。


「落ち着け、落ち着いてくれ」


そう言ってさらにきつく抱きしめる。
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