たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
初めてフィーアと会った日からひそかに興味を抱いていたファーレンハイトだったが、それを口に出すわけにはいかない。


なんと言っても上官であり親友の想い人なのだから。


だが、最近では宮廷の女官や貴族の娘にも飽きている。

ただ自分のいいなりで、自由になる女。宮廷はそんな女ばかりだ。


略奪愛も面白い。


目の前ではエルンストがひよこ豆と格闘している。


エルンストは確かに美丈夫だし、皇帝に忠実で武人としては優れた人物だが、こと女性のこととなると無骨なところがある。



俺のほうがあの娘につり合うのではないか?


よこしまな考えに気づいてファーレンハイトは唇をぎゅっと結んだ。


俺はどうかしている。そう思いながら、首を振った。


親友を裏切るのは武門のもっとも恥ずべき行為だ。


しかし.....諦めることも出来ない。


深いため息をつくファーレンハイトだった。
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