たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「よく話をすることですよ」ファーレンハイトは作り笑顔をする。

「フロイラインの誤解を解くことです。なにか心当たりがおありでは?」


「全くない」

エルンストは不機嫌だ。


何故だ?あの月夜の晩、想いが通じ合ったのでは無かったのか?

あれは俺の勘違いだったのか?

フィーアの気持ちがエルンストにとっては理解不能すぎた。


「しょせん女などにうつつを抜かしたのが間違いだったのだ」

苦々しく言い放つ。


大体俺が何をしたと言うんだ。


ただ夜中に抜け出そうと誘っただけじゃないかっ?!


それがどうしてああなるんだ?




あれから三日間、フィーアとは必要最低限の会話しかしていない。


会話など無くても日常は成り立つ。不自由すらない。主従関係なのだから当然だ。


やはり俺には恋愛は向かない。いや出来ない。してはいけないのだ。

戦のほうがよほど気が楽だ。相手の意志に関係なく攻められるのだからっ!


勝手にしろっ!!


いささか自暴自棄になりかけているエルンストだった。
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