たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「御意」胸に手をあててうやうやしく頭を下げる。

そんな姿にゲオルグも満足気にうなずく。


「今宵の宴は非公式でささやかなものだ。お前も気楽に参加するがよい」


「はぁ....」

気楽ではなく、すでに嫌気がさしているのだが....。
宮仕えの辛いところだ。エルンストは思った言葉を飲み込んで渋い顔をする。



「そんな嫌そうな顔をするな。お前の為にそれはそれは綺麗どころを集めている。実はな、世もいい娘がいたら側室にしようかと思っているのだ」



エルンストは驚きを隠さなかった。



「陛下はご結婚されてまだ半年でございますぞ?」


「良いのだ。ゾフィーには内密にな」


先刻の意味ありげな笑みはこのことだったのか。

もし許されるなら皇帝の前でため息をつきたい気分のエルンストだった。
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