たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
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その夜、宮殿の一室で宴がひそやかに行われた。

出席者は皇帝ゲオルグにエルンスト。後は貴族の娘が10人ほどだった。

どの娘もそれぞれに着飾り、ゲオルグの言った通り美女ぞろいで、まさに美の饗宴だった。

側室になるチャンスとばかり、娘たちはゲオルグに色目を使ったり、手を握らせたり、体を触らせたりしている。


「今宵はお前も、はめを外せ」

エルンストは無言で頭を下げた。


「気に入った女はいるか?」


「はあ、まあ」あいまいに答える。


「どの女だ?」小声で話しかけてくる。


「あの、紫のドレスを着た女性など.....」


とりあえず、顔が好みだったのでそう答えた。


「あの娘はクラッセン子爵家のパウラだ」そう教えられる。


「世の好みではないからお前にやろう」


なんとも女性が聞いたら、”失礼極まりない”と怒り出しそうな会話だ。

しかし、残念なことに男とはそんな生き物だ。
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