たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「フィーア」もう一度ささやくと、エルンストはフィーアに唇を重ねた。


柔らかい感触がフィーアに伝わる。

フィーアの唇を確かめるように、何度も何度もついては離れる。




「う.....ん」思わず声をあげるフィーア。
こんな悲しみに満ちた口づけを経験したことがなかった。



唇を離すとエルンストは「お前は娼婦の真似はしたくないと言ったぞ」

フィーアは黙ってうなずく。


「確かに申しました。ですが、もういいのです。愛された想い出が欲しいのです。わたくしをこの蛍の海で溺れさせて下さい」

後ろめたい悦びが勝ってしまった。でももう止められない。
フィーアは熱い胸の内を吐き出すように答えた。


エルンストはフィーアの手首を離すと、そのからだを力任せに抱きしめた。



蛍は二人の周りで光を放っている。
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