たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
こうこうと真上から照りつける太陽は容赦を知らない。


「おらっ!とっとと歩けっ!」


奴隷商人の男は振り上げたムチを地面に叩きつけた。


”ビシッ”その音におびえて奴隷たちに緊張が走る。


「さっさとしねえと奴隷市場に間に合わねえんだよっ」


再びムチを振るう。


両手を縄で縛られたあわれな奴隷たちは、更に前の奴隷と後ろの奴隷が腰を鎖でつながれ、全員が一列をなし今にも溶けてしまいそうなくらい路面を照り返す太陽の下を裸足で歩いていた。



ここはカールリンゲン国の小さな田舎町。

隣の村から飲まず食わずで奴隷たちはひたすら歩かされて来た。数は10人程。
男と女半々だ。



「せ、せめて水を.....」


奴隷の男がかすれた声で懇願する。


「お前らにやる水なんて、ねえんだよっ」


水を懇願した奴隷は商人の男に思い切り蹴られると、言葉もなくその場に倒れ込んだ。


それと同時に一緒に鎖でつながれている何人かも巻き添えをくって共に地面に倒れてしまう。


”ガチャガチャーン!!”鎖がこすれあう大きな音が町に響いた。
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