たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
朝の光は二人に優しかった。

白い光が部屋を満たし、それがまた幸せを感じさせてくれる。

エルンストは傍らに眠るフィーアのひたいに唇を寄せた。


「う.....ん」寝返りをうつフィーアの白い背中に自分が散らした赤い花びらの数を確認するようになぞる。


そして今だ夢の中にいるフィーアをエルンストは背中から抱きしめる。


触れあう肌が昨日の夜を思い出させる。


夢のような一夜だった。


エルンストはフィーアの背中に押された奴隷の焼印にそっと口づける。


「お前を愛しぬくぞ」

愛のある交わりはエルンストにとって初めてだった。

情欲を吐き出すそれは虚しさだけが残るが、今は幸せに見たされている。


あらためてフィーアのぬくもりを感じながら余韻に浸っていた時だった。


突然、ノックの音が部屋に響いた。

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