たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
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エルンストが城に着くと、すでにファーレンハイトが待っていた。

どうやら余程のことらしい。


「閣下っ!!」

エルンストを見つけると、駆け寄ってくる。
多少のことでは動じないファーレンハイトの表情がこわばっている。


「どうした、ファーレンハイト」


唾をゴクリと飲むと、「皇妃様が幽閉されましたっ!!!」落ち着きを装うことにファーレンハイトは失敗した。


しかしそれは無理も無かった。日頃慌てないエルンストでさえもさすがに全身が凍りついたのだから。


「なにっ!!」


「閣下の伯父上、ベーゼンドルフ公爵も一緒です」


「今すぐ陛下にお目通りをっ!!」エルンストの声は怒気をはらんでいる。


「それが先ほどから願い出ているのですが」


「俺が直接行こう」エルンストはマントをひるがえすと皇帝の居城へと歩き出した。
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