たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
────ゾフィーのいる離宮を辞してフィーアは夕暮れの町を歩いていた。
ハンスから帰りに夕食の材料を買ってくるように言われている。
肉屋で買い物を済ませて出て来た時だった。
フィーアのスカートを引っ張る老婆の姿が。
何か恵んでくれと言っている。
「困ったわ。お金はコンラートさんから預かっているだけだし」
老婆はフィーアのスカートを離そうとしない。
食材だって自分のお金で買っているわけではないので、勝手に与える事も出来ない。
「その娘さんを離してくれませんか?」
声と同時に金貨が一枚老婆の目の前に落ちた。
「えっ?」
見るとファーレンハイトだった。
老婆は慌てて金貨を拾うと、ギュッと握りしめ礼も言わずにどこかへ走り去っていく。
ハンスから帰りに夕食の材料を買ってくるように言われている。
肉屋で買い物を済ませて出て来た時だった。
フィーアのスカートを引っ張る老婆の姿が。
何か恵んでくれと言っている。
「困ったわ。お金はコンラートさんから預かっているだけだし」
老婆はフィーアのスカートを離そうとしない。
食材だって自分のお金で買っているわけではないので、勝手に与える事も出来ない。
「その娘さんを離してくれませんか?」
声と同時に金貨が一枚老婆の目の前に落ちた。
「えっ?」
見るとファーレンハイトだった。
老婆は慌てて金貨を拾うと、ギュッと握りしめ礼も言わずにどこかへ走り去っていく。