たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
杖の先が光っていて、とても綺麗。


あの人は魔法使いなのかしら?


黒いマントを羽織って、人々のひたいに指をかざしている。



「あの、わたしも船に乗ってもいいですか?」


「そなたの名は?」


「はい。フィーア・フォン・.......と申します」



「我が名はカロン」


カロン?あの神話に出てくる冥界への水先案内人?


本当にいるのね?



カロンが私のひたいに指をかざした。



「そなたは船には乗れぬ。帰るがいい」





「待ってっ!!わたしも乗せてっ!!
お願い、行かないでっ!!」



カロンの手が私の手をとる。

温かい温もり。



「カロン様.......わたくしも」

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