たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「エルンスト様、どうかわたくしを苦しめないで下さい。
わたくしを.....鎖から解放してください」


「鎖...からだと.....」


エルンストの切れ長の目が大きく見開かれた。


「それは俺がお前を無理矢理つないでいると言う意味か?」


フィーアは答えなかった。







二人の様子を陰から見ていた者があった。


皇妃ゾフィーだった。


何気なくフィーアの様子を見に来たのだが、二人の会話が聞こえてカーテンの陰に隠れたものの、話の深刻さから出るに出られなくなっていた。



「それがお前の気持ちか?俺を永遠に愛すると誓ったのは嘘なのか?」


「はい」


フィーアは苦しげにうつむいた。



「......」



エルンストは自分の胸からそっとフィーアを離すと、静かに部屋から出ていった。


これで良かったのだ。このままだと二人の未来は破滅しかない。

涙でエルンストの最後の姿を見ることが出来なかった。
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