たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
────数時間に及ぶ会議であったにもかかわらず、明確な結論を導き出すことは出来なかった。


雨は激しく窓を打ちつけている。


空は夜のように暗く、その闇を裂くように稲妻が時々走っている。



「今日は早く帰ったほうがいいようですね?」


ファーレンハイトが外を見ながらエルンストに話しかける。



「そのようだな」


「フィーア殿、意識が戻ったそうですね。先刻、女官から聞きました」


「ああ」


「立ち入った話をしてもいいですか、閣下?」

いつになく真面目な表情だ。


「何だ?」


エルンストは書類から視線を外す。


「閣下はお幸せそうですが、はたしてフィーア殿はどうでしょうか?」


思いもよらない言葉にエルンストは意表をつかれた顔をする。
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