たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「どういう意味だ?」


穏やかとは言い難い声でファーレンハイトに視線を据える。


「フィーア殿はお幸せかと聞いているのです」


「ファーレンハイト、お前何が言いたい?」その声は低く怒気をうっすらとはらんでいる。

「俺といたらフィーアは幸せではないと言いたいのか?」



「そうは申しておりません。ですが......」


ファーレンハイトは以前フィーアと会った時の涙を思い出していた。

あれで幸せと言えるのか?


そんな疑問が胸のどこかにあった。


フィーアが幸せであることが、自身フィーアへの想いを断ち切る理由になるとファーレンハイトは考えていた。

想いを寄せる人が幸せならば、それをあえて壊す必要はない。

だから、フィーアは幸せでなければならない。なのにそうではないのなら.....。

エルンストがフィーアを幸せに出来ないのなら、自分が奪って何が悪い。


ファーレンハイトは思いをぶちまけると、エルンストと雷鳴とどろく中で対峙していた。
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