たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「お前がフィーアを幸せに出来るだとっ?!」エルンストは戦士の顔になっていた。

相手の返答によってはただでは済まない。そんなオーラを漂わせていた。


「少なくともエルンスト、お前よりましではないのか?」


士官学校時代の二人に戻っていた。そこには上官と部下の関係はなくなっている。


「お前はフィーアの何を知っている?!」


「むしろ知る必要があるか?過去に囚われてなんの意味がある?
これから彼女を知って行けばいいだけのことだ」



「知った風な口を聞くなっ!俺の苦しみがお前に分かるまいっ!!」エルンストの拳はファーレンハイトの左顔面に入っていた。


思い切り床に倒れるファーレンハイトだったが、すぐに「なにをっ」とばかりに起き上がるとエルンストにつかみかかる。



二人はもつれるように床に転がると、お互い一歩も引かぬとばかりに殴りあった。

床がきしみ、ソファーにぶつかり植物を倒す。

戦いには手練れた二人だけに、勝負は中々つかない。



「閣下っ、中将っ!!おやめくださいっ!!」


騒ぎに様子を見に来た若い士官が止めに入る。


それでも二人はお互いの腕をガッチリ握って離そうとしない。



自分一人ではどうにもならないと判断した士官は「おーい、誰かっ!!」応援を呼ぶ。
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