たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
自室に戻ると、急いで騎士団の制服に着替える。

フィーアは不安そうだ。


「心配するな」フィーアを抱き寄せる。

エルンストの腕の中で心配そうな顔をするフィーアを優しく諭すと、応接間へと向かった。


突然どうしたと言うのだ?
皇帝が家臣の屋敷を訪れるなど、未曾有な出来事だ。
胸騒ぎがする....。

エルンストは一抹の不安を抱えながら目の前の扉を開く。



「大変お待たせ致しました、陛下」


ゲオルグのいる応接間に入ると、一礼する。


「休みのところすまぬな」


ゲオルグはソファーに腰掛け、その横にはファーレンハイトが直立不動の姿勢で控えていた。


一体何事だ?
普段冷静なエルンストの心臓が珍しく高鳴っている。

それにファーレンハイトがここにいるならゾフィーの警護は誰がやっているんだ?
この隙にゾフィーの身に何かあったらどうする。


そんなエルンストの内心を知ってか知らずか、


「お前の屋敷は中々のものだな」ゲオルグは物珍しそうにしている。


「恐れ入ります」形通りの受け答えをするが、気もそぞろだ。
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