たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「さて本題だが、お前の所にそれはそれは美しい侍女がいると兵士たちの噂でな。忍びで会いに来たのだ」


心臓が口から飛び出るほどエルンストは驚いた。


まさか?!

様々なことがエルンストの頭の中で駆け巡る。

フィーアを皇妃ゾフィーの所に通わせていたことがあだになったのか。

あれはゾフィーのたっての願いだった。そしてそれが功を奏してゾフィーを側室グレーテの魔の手から救った。

エルンストは内心焦っていた。



.....ここはまず落ち着くことが先決だ。

戦場でもそうだが、焦ったり慌てていては妙案は浮かばない。

常勝の英雄は深呼吸する。


「当家にそのような侍女がおりますかどうか?」


エルンストははぐらかす。


ゲオルグの横で控えているファーレンハイトは眉間にしわを寄せている。


恐らく彼も内心は焦っているのだろう。
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