たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「コンラート、あの娘の名はフィーアだ。もう奴隷と言うな」


不満気な表情を浮かべるコンラートだったが、

「....存じております。さらに昨夜フィーアを見た使用人に箝口令(かんこうれい)をしいております」

苦虫を噛みつぶした顔でエルンストを見た。


「さすがに手際がいいな。俺がお前を筆頭執事にしているゆえんだ」


「お褒めいただいても、何もでませんぞ」

難しい顔をゆるめることなく、マントをエルンストの肩にかける。


「皇帝陛下のお耳にこのことが入ったら、どんなお叱りを受けるか....」


「お前は心配症だな。俺や使用人どもが喋らなければ平気だ」
コンラートの肩をポンと叩き玄関まで歩いてくると、「行ってくる」そう言ってエルンストは皇帝の城へと愛馬にまたがり出かけた。



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