たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
食堂に集まった使用人の数は優に20人を超えている。

普段エルンストが使っている食堂は、一人で食事をするのに丁度よい広さのもだから、あっという間に使用人で埋まってしまった。


コンラートや、ヘレナの姿も見える。

「いったいなんの話だろうね?」
ルイーズが首をかしげる。


この屋敷に来てまもないフィーアには想像もつかない。

「うん」としか答えようがなかった。


集まった使用人の中にはフィーアを初めて見る者も多かった。


「あの娘だれだ?」そんなささやき声がフィーアの耳に届く。


一度フィーアを見ている馬番のカールでさえ、そうつぶやいていた。


確かに奴隷としてエルンストに抱えられていた姿と、今では天と地ほどの差はあったけれど....。



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