たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
次の日からフィーアの朝は忙しくなった。

今までコンラートのやっていた仕事がフィーアになったからだ。

朝一番の仕事はルイーズと一緒に水汲み、次は朝食の手伝い。
そしてコンラートから引き継いだ仕事.....それは登城に間に合うようにエルンストを起こしに行くこと。



緊張してエルンストの部屋のドアの前に立ち深呼吸をすると、ドアをノックする。


返事がない。


「ん?おかしいわ?」フィーアは首をかしげる。

フィーアは銀のトレーを持ち替えて、もう一度ノックをする。


やはり返事はない。



小さくため息をつくと、フィーアは意を決して「失礼します」ドアノブを回した。

だが、そこにはエルンストの姿はない。


まだ起きてらっしゃらないのかしら?

寝室のドアに視線を向ける。

フィーアはそちらをノックし呼びかけるがやはり返事がない。

遅刻でもされたらそれはフィーアの責任だ。ふーっと息を吐くと寝室のドアを開けた。
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