たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
屋敷では愛想なくて笑顔も見たことないけど、騎士団を率いてる時はどうなのかしら?

やっぱり不愛想なの?それとも別の顔があるのかしら?

ご主人様は皮肉屋なところもあるけれど、部下の皆さんにもそうなのかしら?

想像すると可笑しくなってくるフィーアだ。だってあんな不愛想な上官、私だったら嫌だもの。



騎士団ごっこをしている子供たちを何気なく眺めていたフィーアだったが、子供は社会を写す鏡かもしれない。

ふとそんなことが頭に浮かんだ。


無能な役人や領主を面白可笑しく替え歌だったり、遊びの中で風刺している。



ご主人様は子供たちの憧れの存在なのだから、きっと騎士団でも尊敬されているのでしょうね。

お若いのに立派な方なのだわ。フィーアはそっと思いにふける。


しばらく祭りを楽しむ人たちを一通り眺めたあと、いつもの店で肉や調味料を買うと、必ずひと休みする町の広場に向かった。

噴水広場は町の人たちの憩いの場でもあった。いつも多くの人で賑わっている。


噴水のたもとに腰掛けて、初夏の暑さを忘れて少しだけ涼んで帰るのがフィーアにとってささやかな楽しみだった。
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