たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
エルンストの鋭い瞳に見つめられて、フィーアは身が縮む思いだ。

どうかもうこの話はやめて。
心の中で何度も祈った。


うつむいたまま、体をこわばらせているフィーアをエルンストは黙って見つめている。

何故そこまでかたくなになるのか?

「まあいい」

そう言いながらベッドから腰を上げると、ユリの花を手にとって匂いをかいだ。


ご主人様?エルンストを見つめる。


「お前は剣より花のほうが似合っている」


細く長い指がフィーアの髪にユリの花をさし、その大きなグレーの瞳をのぞく。

ユリの甘く高貴な香りにフィーアとエルンストは包まれた。

しばらくの間二人は見つめ合っていた。

エルンストの顔が近づきそうになった時、


「あ.....あの、ご主人様?」


それに耐えられなくなったフィーアが口を開いた。


ふと脱力感に襲われたエルンストは、

「行っていいぞ」


それだけ言うと再びベッドに座り、グラスを傾けた。

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