虹色ストーン
はじまり
私は、桜井 香。中学では人見知りな性格が直せず友達が一人も出来なかっくて楽しい思い出など一つもなく、でも高校では挽回して良い思い出を作りたかったから、中学の同級生が一人もいない、かつて私が住んでいた町にある泉口高校に通う事になったのだ。
そして今日は桜が満開に咲き誇る中、何よりも楽しみにしていた泉口高校の入学式だ。宙を眺めると青空で自然と足取りが軽くなった。
なのに…。
「ですから、あなた達の入学はですね…。」
校長の話が長すぎる。
おまけに昨日の夜は、今日の入学式に向けて地味な私でも似合いそうな髪型を散々雑誌を読みあさって研究していて、寝たのがいつもより2時間も遅くなってしまって凄く睡眠不足なのだ。だから眠くて眠くて…。
でもふと周りを見渡すと私のように眠さと格闘している人はたくさんいる。安心と同時に、この人達は共に1年間過ごしていく仲間なんだと、あらためて緊張してしまう。でも高校からは自分の殻から抜け出すって決めたんだ。だから精一杯楽しもう。
そして私はそっとポケットの中に入れてきたモノを握った。高校では楽しく過ごせますようにと願いを込めて_。