ダサ倉君に焦がれたい





「あの……」




あたしはゆっくりと口を開く。

その事実を告げようとするだけで、胸が騒がしくなる。

顔が熱くなる。

そんな状態で、あたしは章司君に告げる。





「あの……あたし……

すばるくんと付き合ってるから……」



「……え!?」




章司君は大きく目を見開いてあたしを見た。

章司君だけじゃない。

後ろにいた騒がしい女子の集団も、一瞬で静まり返った。

そして、ぷっと笑い声を上げる。





そんな女子たちは無視して、あたしは章司君をしっかりと見た。

章司君は笑ったりなんてしなくて。

むしろ、真剣な目であたしを見ていて。





「それって……まだ、俺が横取り出来るチャンスってあるの?」




その言葉に耳を疑った。


< 109 / 322 >

この作品をシェア

pagetop