ダサ倉君に焦がれたい





だけど、すばるくんは相変わらず楽しくなさそうで。




「つばさちゃん、すっごい鈍いですよね」




なんて言う。

確かに鈍いかもしれないけど……





「僕の気持ちも疑われているんじゃないですか?」




図星なことを言われ、うっと口を噤む。





すばるくんって意外に乙女心が分かるの?

もしかして、すごいやり手だったりするの?

そんな悪い妄想ばかりが頭を過った。






「だって、すばるくんはSUだし……」





そう言ったあたしを……

すばるくんは壁に押し付けた。

ヘンテコ眼鏡から見える鋭い瞳と視線がぶつかって、真っ赤になってしまう。

身体が熱くなって止まらない。






そんなあたしなのに……






「ダサ倉が壁ドンしてる」




なんて通りすがりの人に笑われて。

すばるくんは慌ててあたしを離した。

そして、ドキドキの止まらないあたしに言う。





「塚原君と二人で行ったらいいよ。

それで、ちゃんと確認したらいい」


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