ダサ倉君に焦がれたい





黒いほわっとした柔らかい髪。

切れ長の瞳。

口角の上がった形のいい唇。

彼は、やっぱりステージ上にいたSUだ。

そう思うと、胸がドキドキと音を立てる。




……この胸の音、どうなってるの?







「あの……」




苦し紛れに言葉を吐く。




「人違いでは……?」





そんな中、



「すばる!何やってんだ!!」



暗い廊下の奥に人影が現れる。

SUは顔をあげ、



「ごめん!すぐ行くから!!」



なんて答える。

そしてあたしを見て、またまた優しい笑みを浮かべた。

思わずつられて微笑んでしまうような、胸がじんわり温かくなるような笑みだ。


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