ダサ倉君に焦がれたい









かっこいいすばるくんと一緒にひと気のない通りを歩く。

ダサ倉じゃないすばるくんは、すぐに注目の的になってしまうから。

だから、こうやって人の目を避けるしかないのだ。





「この前までは誰も見向きしなかったのに、今はこんな状態でびっくりだよ」




すばるくんは言う。

それもそのはず。

今ではすばるくんはすっかり有名人。

街を歩いていると、その姿や音楽に出会わない日はないというほどに。





「僕はさ、ずっとバンドに憧れてたんだ。

Fが大好きで、みんなであんな音楽が出来たらいいって思ってた。

だから、ソロなんて興味がないんだよ」




その言葉に聞き入ってしまう。




あたしは……

もっとすばるくんを知りたい。

そして、知れば知るほどファンになってしまう。


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