ダサ倉君に焦がれたい





「僕は変わり者のダサ倉だから、一緒にバンド組んでくれる友達なんていなかった。

だから、仕方なく一人で路上ライブをしてたんだ。

……なのに、圭吾たちは僕を迎えてくれた」




そう言って、すばるくんは目を細めて空を見た。

春らしいからっとした青空だった。





「友達や彼女なんて面倒だからいらない。

圭吾たちともビジネスの仲間。

そう思っていたけど……

つばさちゃんに会って変わったよ」





すばるくんはそっとあたしの手に触れる。

大きくて優しいその手に触れると、胸がきゅんと疼く。





やっぱりすばるくんが大好きだ。

そして、すばるくんが初めて胸の内を明かしてくれて。

あたしはすごく嬉しい。


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