ダサ倉君に焦がれたい




「あのさー……

俺、意地悪してるつもりじゃないけど……」




章司君は申し訳なさそうにあたしに言う。




「友達として心配だよ。

彼、すっげー女慣れしてそうだから」




それはあたしもそう思った。

だって……

雑誌の中の彼は理想のモテ男で。

人生このかた彼女がいなかったなんて信じられない。

それに、恋愛したことくらいあるって言ってるし。




すばるくん、あたしに嘘をついていたのかな。

だけど、その言葉を口にするのが悔しくて。





「章司君こそ理想の彼氏かと思ってたけど、幻滅したよ」




なんて八つ当たりめいた発言をしていた。

きっと、章司君は心配して言ってくれただけだろうに。


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