ダサ倉君に焦がれたい
「今日の章司君、性格悪い」
思わず口走ると、
「悪い男になって、つばさのことを心配してるんだよ」
章司君は言う。
「だって、俺が好きになった女性だよ?
変な男には引っかかって欲しくない」
その言葉はすごく嬉しい。
そして、そんなことを言われると、章司君が心配してくれたのはもっともだと思ってしまう。
でもね、あたしはすばるくんを信じたいんだ。
すばるくんは、嘘をつくような人には思えない。
「もう無駄だよね」
後ろから、女子たちの貶す声が聞こえてくる。
「ダサ倉に引っかかった時点で、変な男に引っかかったようなものじゃん!」
いつもなら受け流せるのに、今日は受け流せなかった。
その言葉がぐさぐさと胸に突き刺さった。