ダサ倉君に焦がれたい
やっとのことで授業を終えた。
すばるくんのことを考えすぎて、授業なんて頭に入ってこなかった。
高校生までは理系の教科が好きだった。
そして特に化学が得意だからこの学部を選んだのに、専門的な内容にはついていけないほどだ。
勉強は嫌いではなかったのに。
すばるくんのことに、勉強のことに、ため息ばかり出るよ。
すばるくんを避けるように廊下に出て、さっさと帰ろうとした。
すばるくんのことは好きだけど、今は会いたくないよ。
階段を下り、ロビーを通り、校舎を出る。
こんなあたしを呼び止めたのは、思いもよらない人物だった。