ダサ倉君に焦がれたい









勢いで繁華街まで出てきてしまったあたし。

行き交う人々はお洒落な服を着て、友達や恋人と身を寄せ合っていて、すごく幸せそうに思えた。

それに比べてあたしはひとりぼっちだ。

こんな時、すばるくんがいたらいいのにと思う。

みんなに笑われてもバカにされてもいい。

すばるくんと笑って、すばるくんに酔いたいんだ。





そんなあたしの耳に、思わぬ言葉が飛び込んでくる。






「あそこでCanKamの撮影しているらしいよ?」



「早瀬純が来てるんだって!」





その言葉にぴくりとした。




早瀬純。

あたしの大好きなモデルさんだ。

早瀬純が好きで、赤文字系雑誌CanKamを買っているようなもの。

そんな早瀬純に会えるなんて!

早瀬純に会って、すばるくんのことなんて忘れようと思った。



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