ダサ倉君に焦がれたい
せっかくのデートだから、喧嘩のことなんて忘れたい。
雑誌通りの王道デートでも、甘んじて受け入れたい。
どんなつもりですばるくんがデートに誘ってくれたかは分からないけど……
嬉しいことに変わりはないから。
雑誌のことを考えるのは、今日のデートが終わってからにしよう!
「つばさちゃん、やっぱり可愛いですね」
もじもじするすばるくんにありがとうと言う。
「つばさちゃんは、そういう柔らかい服が似合います」
どういうことだろう。
深読みしたくなるが、努めて考えないように、考えないように。
話題を変えるため、すばるくんに言う。
「今日のデートは何するの?」
そう聞いたあたしに、
「午前中はつばさちゃんの行きたいところに。
午後は僕の行きたいところに行きましょう」
すばるくんは相変わらずぼそぼそっと答えた。