ダサ倉君に焦がれたい






せっかくのデートだから、喧嘩のことなんて忘れたい。

雑誌通りの王道デートでも、甘んじて受け入れたい。

どんなつもりですばるくんがデートに誘ってくれたかは分からないけど……

嬉しいことに変わりはないから。

雑誌のことを考えるのは、今日のデートが終わってからにしよう!







「つばさちゃん、やっぱり可愛いですね」




もじもじするすばるくんにありがとうと言う。




「つばさちゃんは、そういう柔らかい服が似合います」





どういうことだろう。

深読みしたくなるが、努めて考えないように、考えないように。




話題を変えるため、すばるくんに言う。





「今日のデートは何するの?」



そう聞いたあたしに、



「午前中はつばさちゃんの行きたいところに。

午後は僕の行きたいところに行きましょう」



すばるくんは相変わらずぼそぼそっと答えた。



< 231 / 322 >

この作品をシェア

pagetop