ダサ倉君に焦がれたい
すばるくんはあたしに手を絡め、身を寄せたまま話し出す。
甘いその声が心にきゅんと響いた。
「雑誌に書かれていたことで、つばさちゃんを悲しませてごめん。
でも、あれが全部本当ではないよ」
しばらく沈黙が続く。
その沈黙の中、波の音だけがずっと響いていた。
「僕は確かに人を好きになったことはあるし、好きな人のために歌を作ったこともある。
でも、今はつばさちゃんだけなんだよ。
あのさ……僕の気持ちは、結構後戻り出来ないところまできてるんだよ」
「うん……」