ダサ倉君に焦がれたい







「そういえば、今日もすばるくんお休みだよね」




あたしの言葉に、章司君は心配そうに頷いた。

そして、あたしの心の中の言葉を代弁するかのように、章司君はあたしに告げた。





「すばる、マジで退学するのかな」






すばるくんが退学。

それは当選のことかもしれない。

今やsandは人気絶頂のバンドだから。

すばるくんは授業に出ている余裕なんてないし、sandで生きていけるだろうから。

だから、大学なんて必要ないことくらい分かっているけど……




でも、寂しかった。

ダサ倉と呼ばれても、あたしまで馬鹿にされても、隣で授業を受けられるのは幸せだった。

その時はsandのSUという事実を忘れ、学生のカップルという普通の立場になれるんだ。


< 260 / 322 >

この作品をシェア

pagetop