ダサ倉君に焦がれたい
「そういえば、今日もすばるくんお休みだよね」
あたしの言葉に、章司君は心配そうに頷いた。
そして、あたしの心の中の言葉を代弁するかのように、章司君はあたしに告げた。
「すばる、マジで退学するのかな」
すばるくんが退学。
それは当選のことかもしれない。
今やsandは人気絶頂のバンドだから。
すばるくんは授業に出ている余裕なんてないし、sandで生きていけるだろうから。
だから、大学なんて必要ないことくらい分かっているけど……
でも、寂しかった。
ダサ倉と呼ばれても、あたしまで馬鹿にされても、隣で授業を受けられるのは幸せだった。
その時はsandのSUという事実を忘れ、学生のカップルという普通の立場になれるんだ。