ダサ倉君に焦がれたい
だけど……
「ダサ倉が退学?
ようやくだね」
後ろから女子の声が聞こえる。
「それにしてもダサ倉って普段何してるんだろ」
「アニメイトにでも入り浸っているんじゃない?」
こんな扱いを受けるくらいなら、退学したほうが幸せなのかもしれない。
もはや、大学にはすばるくんの求めるものなんて何もないのだろう。
だけど、すばるくんが退学したら、やっぱり寂しい。
一緒に授業を受けることもないし、図書館で勉強することもないし、学食でご飯を食べることもない。
忙しいすばるくんと接点もどんどん少なくなっていくんだ。
それで自然消滅……なんてないよね。
あたしももっと強くならなきゃ。
すばるくんに会えなくても大丈夫な、強い女にならなきゃ!
だけど……
すばるくんがいなくなると、いよいよ友達は章司君だけになる。
章司君はテニスサークルにも所属していて、あたし以外にも友達は多くて。
あたし、本当に孤立してしまうのかなんて不安になる。