ダサ倉君に焦がれたい
ー??sideー
少しのいたずらのつもりだった。
ダサ倉の鞄の中を見て、みんなで笑うつもりだった。
「ダサ倉出てったよ!」
その声に、
「鞄見てみようよ!」
あたしは言う。
そして、ダサ倉の鞄をおもむろに取り上げた。
所々擦れたダサい鞄。
持ち上げると、思いのほかずしりとしている。
それを、まるでごみをつまむように持ち上げた。
もちろんダサ倉が臭いとかそういったことはない。
でも、見た目がモサくて不潔っぽくて。
触りたくない人ナンバーワンだ。
三谷さんはどうしてダサ倉なんかと付き合えるんだろう。
ダサ倉なんかに構わずにいたら、普通の学生生活を送れたのに。
そんなことを思ってしまった。