ダサ倉君に焦がれたい
朝倉君は相変わらずホームレスみたいなボサボサの髪に、よれよれの服を着ていた。
そして、ヘンテコな眼鏡をかけている。
だけど……
避ける理由なんてあるのかな?
個性的なだけじゃないかな?
そう思っているあたしに、
「教科書……見せてくれてありがとうございます」
彼は言う。
その外見に似合わず、意外にも凛とした深みのある声だった。
そして、そんな彼の声を聞いたのも初めてだった。
だって……
朝倉君は喋らないというイメージがあったから。
「ううん……教科書見せるくらい」
「でも、三谷さんは僕のせいで……」
朝倉君、気付いてるんだ。
あたしが避けられていること。
だけど、朝倉君のせいではないよ。
あたしが好きでやったんだから!