ダサ倉君に焦がれたい
「三谷さん……
朝倉君が口を開いた時、
「すばる!お前また何やってんだ!?」
後ろから男性の声が聞こえた。
朝倉君は口を閉じ、あたしは思わず振り向く。
そして、またまたドキンとした。
もちろん朝倉君に対するドキンとは違う。
テレビで見た人に会って緊張したドキンだ。
「ごめん、圭吾。
ちょっと急用があって」
朝倉君がそう呼んだ人。
それはsandのギター担当のKEIだったのだ。
KEIはテレビで見せる爽やかな笑顔とは違い、あからさまにイラついた顔をしていた。
そして、朝倉君に言う。
「お前、有名になった瞬間女遊びかよ」
「ちっ……違うよ」
「ダサ倉のくせに」
「……」