ダサ倉君に焦がれたい






「あのさ、つばさちゃん……」




朝倉君が口を開きかけた時……




「サインしてください!」



「写真撮ってください!!」




なんて人が迫ってきて。

朝倉君はぎょっとした顔をしていて。

あたしの手をぎゅっと握る。

それだけで身体がヒートアップして、倒れてしまいそう。




「つばさちゃん、逃げるよ!!」




そのまま手をぎゅっと引っ張られた。






お気に入りのワンピースを翻して、朝倉君と走る。

人々が振り向き、悲鳴を上げる。

そんな中、胸をときめかせ、顔を紅潮させ、朝倉君の手をしっかり握って走り続けた。





まるで魔女の城から連れ出されたお姫様みたい。

もちろん王子様は朝倉君だ。



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