*゚闇に沈む少女*゚
巡回を終えると、土方さんに呼び出された。
「....雛菊です。」
「入れ。」
襖を開けると書物で部屋が散らかっていた。
「お茶、淹れて来ました。」
「悪い、それでだ
お前に 近藤さんたちと大阪に行ってもらう。」
....大阪と言うことは
芹沢鴨も一緒ということになる。
「芹沢さんが そうしろと言ったんだ。
まったく、何考えてるんだか。」
大きく溜め息を吐く、土方さん
これから、起きるのは 北新地・乱闘事件だ。
新選組がまだ「壬生浪士組」を名乗っていた。文久3年6月、芹沢鴨ら8人が遊びに出かけた大坂・北新地の小橋で相撲力士集団が無礼を働いたとして、小競り合いが発生した。
橋上で芹沢らとかち合った力士が道を譲ることなく、「そこをあけろ」の押し問答を続けたための行為だった。
動揺を抑えきれない力士はその場を去り、事態はここで収拾したかにみえたが、これは、より壮絶な乱闘事件への序曲に過ぎなかった。
高沢民部と柴田玄蕃の2人を逮捕していることが書かれていることから、懸案はあっさり片付いたのだろう。
2人の身柄を奉行所へ引き渡すと、フリーとなった浪士組のうち近藤ら2人を除いた8人はさっそく大坂の夜を楽しむため、天満橋南詰めにあった宿の京屋忠兵衛宅から大川に舟を浮かべ、酒食を楽しんだ。
そんなとき斎藤一(はじめ)が腹痛を起こしたとされている。
「わかりました、行きます。」
「頼んだ。」
こうして、僕は大阪へ行くこととなった。