*゚闇に沈む少女*゚
池田屋事件が終わると...
僕は 珍しくヘトヘトに疲れていた。。
藤堂さんが風呂に行っている内に
2人分の布団を敷いた。
「はぁ...」
僕の疲れた体は どうやら悲鳴を上げているようだ。
男子軍たちが 風呂に上がる間
芹沢さんや沖田さん達の優しさを思い出した。
胸が 吹き上がるように熱く
締め付けたのだ....
その優しさに触れてしまえば
僕が僕で無くなるんではないかと思うと
怖かった....
僕は、ほんとに臆病者だ
昔から変わらない 自分に苛つくと他人に
思いたくなる。
こんな弱さ 見せたくないのだ
かっこ悪いし 有り得ない。
そんなくだらないことを考えていた。
「紫陽花ー!風呂空いたよ?」
ニコニコとした、藤堂さんからは
ホカホカと湯気が出ていた。
「はーい。」
そう返事をして、僕は風呂に向かった。
――――――カラカラ~....バタンっ!!
....誰もいないんじゃないの?
何が起きたかと言うと、、、
まだ 沖田総司がいた。
――――カラカラ~
後ろから扉が開く音がした
嫌な予感まで 浮かんで来た........。。
「何してんの、入ればいいのに。」
この声の主は、沖田さんだ。
「........わっ、ちょっと!!」
戸惑っていた僕は、沖田さんに腕を引っ張られた....これは まずいって。。。
――――――バシャバシャ....
タオルを見に包みながら
今の状況に頭が付いていると
沖田さんは 勝手に桶を持って
僕の体にお湯を掛け、再び腕を引いて
湯に浸からせた。
もう、何が何だか................。。。
だけど、檜の香りと温まる湯は
僕の体を癒す。
「君が来るのを、待ってました。」
え....何で、池田屋の事か?
「君、古高俊太郎と吉田稔麿を逃がしたでしょ?」
あー....何だ、その事か。
まぁ、気になるんだろうけど
湯に浸かってる時くらい ゆっくりさせて欲しい。
「長州の者を気絶させたり、ホントに何がしたいんですか?」
「........」
「黙ってないで、何か言ったらどうです?
それだと、また疑われますよ。」
優しくされるより、疑われた方が
僕は 性に合っている。
髪や体を洗い、沖田さんから逃げるように
風呂を後にしようと思った時...。
――――――・・・ぎゅ。
この瞬間、僕の頭は真っ白になった。
自分の身に何が起きているのか
理解するのに、時間がかかった。。
僕は、沖田総司に抱き締められていた
「ごめん、君を追い詰めたい訳じゃない......。
紫陽花ちゃんが 何でも1人でやろうとするから僕も もどかしくって苦しい。
もうちょっと...僕らを頼ってくれても良いんじゃない?」
「......やめて。」
僕の事情を話すのは耐え切れない。
「僕らは、絶対に君を離さない。」
僕は 沖田さんの優しさに耐え切れず
腕を払って
「僕の事は、構わないでください。...迷惑なので」
酷いことを逃げてしまった。