*ﾟ闇に沈む少女*ﾟ

❁*｡山崎side｡*❁

猥が徹夜の仕事を終えた、薄暗い朝に屯所に帰ってきた
猥はふと　屋根を見上げると人の影があった。





その影の主は、雛菊だ



あいつの事が気になり、屋根に登り
雛菊に近付くと あいつの背中は何だか寂しげだった。





｢何してん？｣





そう声を掛けられずには 居られなかった。







｢ただ、外を眺めてるだけです。」





雛菊の目は 心に在らずという表情だった。




あまりにも 猥の胸を締め付けた






｢そうか。｣






この言葉しか 言えない事に嫌気がさした。







あいつは、暫く 朝日を見つめていた
まるで 何かを探るような....





何故、お前は 何も言わない？
誰にも 頼らない？




猥も、芹沢さんも、沖田さんや皆は
手を伸ばしても 雛菊はその手を取ろうしないのだ。








｢部屋に帰って、寝たらどうです？」






あいつは 自分には厳しいのに
周りには とても優しい。




芹沢さんが目を置くほどだ。





｢お前が心配するほど、猥は柔じゃない。」





そう言わないと、ここにいられない気がした。




あいつを1人に残したくなかったから。


数刻ほどが過ぎ、朝日が登り切った時






このいたたまれない気持ちに負け








｢猥は 先に戻るな。｣






そう言ってしまった。






猥は 雛菊の寂しげな背中に悔やみながら
自室に戻った。






........何時でも、助けてやるからな。





雛菊を見てしまうと、そう思わずには
いられない。





❁*｡山崎side END｡*❁