夜、を還す。
それからどのくらいの時間が経ったでしょう。彼が私を離し、自分の顔を覆いながら車内が暗くてよかったと笑う。最後なら泣き顔くらい見せてくれてもいいのにと思いながら、そうだねと返しました。
「ご飯食べ行くか」
「うん。」
その言葉を合図にすべての重苦しい空気が元に戻りました。いつものファミレスに入りいつもの席にすわりいつものように笑いながらご飯をたべ、いつものように彼に送ってもらいました。
自宅に着き、ここからはいつものようには行きませんでした。
「ついたよ」
これが最後なのです。淡々と言う彼が羨ましく思いました。つぎここに乗るのは彼の彼女さんか、と考えているとなんだか急に彼女さんに後ろめたくなって、降りようとしたとき、不意に彼の腕が伸びてきて私の額に温かいものが当たりました。
「おでこならセーフだよな」
いつもの私が大好きな笑顔でそう言いました。
「うん、今までありがとうね」
「うん、ありがとうね。おやすみ」
「おやすみ」
こうして最後の最後は淡々と過ぎていきました。普通に喋れている自分にびっくりしたくらいです。
彼は、綺麗な終わり方にしてくれました。
怒りも憎しみもできるだけ少ない形で。これでよかったのです。
私はとうとう独りになりました。後悔はたくさんあります。
彼も独りになりました。しかし、一人ではありません。新しい恋が始まっています。後悔を引きずって欲しくない、幸せになってほしいと思いました。ほんとうにこれでよかったのです。
目の端にたまった涙を拭き家に入りました。玄関の扉を開け、ただいまと言うと母親が心配半分、笑顔半分で遅かったねおかえり。と声をかけてくれ、その表情がついさっきまで、大好きだった彼の、あの諭すような笑顔と重なりまた涙がこぼれそうになりました。
「ご飯食べ行くか」
「うん。」
その言葉を合図にすべての重苦しい空気が元に戻りました。いつものファミレスに入りいつもの席にすわりいつものように笑いながらご飯をたべ、いつものように彼に送ってもらいました。
自宅に着き、ここからはいつものようには行きませんでした。
「ついたよ」
これが最後なのです。淡々と言う彼が羨ましく思いました。つぎここに乗るのは彼の彼女さんか、と考えているとなんだか急に彼女さんに後ろめたくなって、降りようとしたとき、不意に彼の腕が伸びてきて私の額に温かいものが当たりました。
「おでこならセーフだよな」
いつもの私が大好きな笑顔でそう言いました。
「うん、今までありがとうね」
「うん、ありがとうね。おやすみ」
「おやすみ」
こうして最後の最後は淡々と過ぎていきました。普通に喋れている自分にびっくりしたくらいです。
彼は、綺麗な終わり方にしてくれました。
怒りも憎しみもできるだけ少ない形で。これでよかったのです。
私はとうとう独りになりました。後悔はたくさんあります。
彼も独りになりました。しかし、一人ではありません。新しい恋が始まっています。後悔を引きずって欲しくない、幸せになってほしいと思いました。ほんとうにこれでよかったのです。
目の端にたまった涙を拭き家に入りました。玄関の扉を開け、ただいまと言うと母親が心配半分、笑顔半分で遅かったねおかえり。と声をかけてくれ、その表情がついさっきまで、大好きだった彼の、あの諭すような笑顔と重なりまた涙がこぼれそうになりました。