こゝろ
そして、その優しさは私には十分伝わっていました。そして、その優しさに応えたいと思い、私は正直に打ち明けました。
「私、撫子に告白されたんです……。」
「やっぱり、優心……。」
「金、土、日も泊まりに行って、それからいろいろ酷いこともされました。でも、それは同性愛者か普通の恋愛かの違いでしかなくて、ただ、偏屈した愛だっただけだと思います。」
「無理しなくていいよ。よく話してくれたね。」
滝さんは気の毒そうな顔で私にそう優しく言ってくれました。トゲが付いているサボテンも、人の痛みがわかるみたいです。
その証拠に、滝さんは私が撫子に告白されたことを聞いても、その場を離れて行くことはしませんでした。
撫子の嫉妬が滝さんに行くかもしれないリスクがあるにもかかわらず。そのことを滝さんは十分知っているにもかかわらず。
「大丈夫。優心は、私が守ってあげる。」
滝さんのトゲは、私を守ってくれるトゲになる可能性を秘めている。私はこの時、初めて滝さんのことを好きになれました。