こゝろ





「大便してたの?」



撫子はストレートには言わず、でも、普通の女子が言わない程度の、表現で私にそう訊きました。



「違うよ。」



「大便でしょ? 普通に時間長かったし。そうでしょ?」



私は迷いました。否定してしまうと、本当の理由を言わなければならず、肯定してしまうのもそれはそれで恥ずかしいです。



でも、どっちが安全かというと、やっぱり肯定することでした。



「まあ、そうかな……。」



私はわざとらしく頭を掻きながら渋々、そう答えました。すると、撫子は私の答えに満足したのか、また天ぷらを私の口元へ運びます。



今思えば、学校で大きい方をしたことよりも、こうして撫子に箸で食べさせてもらってる方が恥ずかしかったと思います。



もちろん、当時の私に抵抗する力なんてありませんから、されるがまま、誰か他の人に見られないようにとビクビクするしかありませんでした。



こういうお昼休みが、この日からほぼ毎日、屋上で続きました。




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