こゝろ





そして、放課後も私は、撫子の家に通います。



撫子の両親は共働きらしく、私は一度も会ったことがありません。そのことをいいことに、撫子は私をどんどん飼いならしていくのでした。



「今日は優心にプレゼントがあるの! これ、付けてみて!」



そう言って私に渡したものは、チェーンのついた首輪でした。



「ネットで買ったのが今日届いたの。優心に似合うと思って。」



本当は嫌なんです。嫌に決まってます。でも、撫子が「付けてみて!」と言ったら、付けるしか私には道がないのです。



そして、付けると、撫子は喜びます。喜んで、チェーンを引っ張って私を犬のように四つん這いに歩かせます。



「いいね、いいね、いいねえー! それ、それ、それえー!」



撫子ははしゃぎながら私を歩かせ、ケラケラケラと高笑い。バカ笑い。私も苦笑いで答えます。遊んでやります。付き合ってやります。



撫子のバカ遊びに、私は仕方がなく付き合ってやっているのです。そう思うことが、唯一、私が私でいられる蜘蛛の糸でした。




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