こゝろ
撫子の贖罪
撫子の声でした。
滝さんのスマホから聞こえてきた声は、間違いなく撫子の声でした。
「ど、どうして、撫子が滝さんの電話に……。」
理由は、わかっていました。でも、私は訊かずにはいられなかったのです。
「優心に変な虫が付かないように、殺虫スプレーを撒いただけだよ。」
「私は……。」私は……。
「私はそんなこと望んでない……。」
「私の望みだもん。優心は私のものなのに、泥棒みたいなことするから……。悪いのは私じゃない。滝が悪いの。」
「悪いからって殺すの?」
「殺すね。私は殺す。佐久間も、滝も、島原くんもね。」
佐久間……も?